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アスペクト比の怪


誤解の象徴

このようなサイズのaviファイルは, (ほとんどの場合) 縦横比の狂ったつぶれた動画としてしか再生されません.

上の例はvideo CD規格で推奨されているドット数が何故か 過大解釈されて通常のaviファイルに適用されてしまったものと思われますが, 原因の根本は, そのvideoCD規格でドットのアスペクト比が1:1でない (1.0950または0.9157) ものとして制定されていることにあります. この事情はMPEG2の規格でも同様ですので, 動画作成者の側でもアスペクト比についてしっかり知っておかねばなりません.

ソースのアスペクト比

どのようなドット比で保存するかは別にして, 動画には, 画面に出したときに縦横比がいくつになればいいか, という本来のアスペクト比があるはずです.

世の中に存在する映像の多くは

のどれかに該当すると思います. 詳しい情報は http://www.shochiku.co.jp/cinema/theaters/yougo.html を参照してください. 資料によるとヨーロピアンビスタという規格もありますが, これはあまりにも16:9に近いので, ただのワイドと区別がつかないでしょう.

上で述べられているのは, 「映像の縦横比」であって, これを動画ファイルにしたときの「ドットの縦横比」とは別だということに注意してください. (TMPEGencの設定などでアスペクト比という用語が使われるときにはこれらがごちゃごちゃに出てくるので混乱しやすいです)

ドットのアスペクト比と動画のドット数

ドットのアスペクト比

たとえば上のTVアニメの場合(映像アスペクト比 4:3)の場合を考えます. この場合

という2つの選択肢が考えられます. どう考えてもわかり易いのは正方形ドットの方ですが, いろんな事情で, 後者の長方形ドットを採用する場合もあります. videoCDやDVDが, 残念ながら後者に該当します.

ちなみに, MPEG1やMPEG2のファイルには動画を構成する仮想的なドットのアスペクト比がちゃんと保管されてますので, ソフトウェアvideoCDプレーヤーやソフトウェアDVDプレーヤーはこの情報を見て映像が正しい縦横比で再生されるように, (多くの場合)横方向のドットを間引いたり増やしたりして画面に表示するのです.

動画のドット数

さて, 我らが常用するaviファイルには, アスペクト比を格納するフィールドが無くはないらしいのですが, それを利用するツールを見たことはありませんし, 仮にファイルに情報が書きこめたとしても, 再生するメディアプレーヤーがそれを見てドット数を変えて表示すると言う話は聞いたことがありません. (違ってたらご指摘ください)

したがって, 今のところaviファイルを作るときには, 正方形ドットで, ドット数が

を満たすものが望ましいでしょう. ワイドやシネスコについては, ソースがTV (NTSC)の場合はもちろん上下の黒帯を切り捨てた場合のドット数です.

もちろん比を満たしていればもっと半端でも良いのですが, TV経由画像の場合縦がNTSC規格の240の倍数からずれることは好ましくないのと, 横方向のドットも8や32の倍数でないといろいろと困る場合があるので, あまりドット数でオリジナリティを発揮しない方が良いです.

ちなみにDVDのドット比は

DVDにはいくつか許された選択肢があるのですが, 多くの場合は映像は720*480ドットで記録されていて, これを(3:4映像の場合は)横に縮めて, (16:9映像の場合は)横に引き伸ばして表示しています. ビスタやシネスコの映画の場合も, なんと上下に黒い帯をいれて16:9映像にして, ここからさらにドットをゆがめて720*480にして記録すると言う無駄っぷりです.

この, DVDに記録された720*480を実際に何対何で表示すべきかは, DVD2AVIでプロジェクトファイルを作るときに詳細ウィンドウに出るのでわかります. いずれにしても720*480のままでよい場合はほぼありませんので, 世にも稀なちょさくけんフリーDVDをaviファイルに変換する人は留意されますよう…

なんか歪んだ動画をもらっちゃったんだよもん

とは言え, お友達が昔作った動画を見せてもらうときなど, (352*240)のように少しつぶれた動画を見る場合もあるでしょう. そんなときは, Zoom Player のような高機能タイプのプレーヤーを使うと, メニューから強制的に表示される動画の縦横比を4:3や16:9にすることができます.

ただし, モニタのドットのアスペクト比をちゃんと正方形にしておくことをお忘れなく.